2014/08/31

美瑛~室蘭、旅立ちは夜逃げのように

エヴェレットは一匹狼だが、人間はとても好きだった。ただ、そこに住みついて、ひっそり余生を送ることはできなかった。ま、だいたい人間なんて、そんなものだよ。俺もそうだし、エド・アビーだって、このマッカンドレスという若いのだって、みんなそうだ。みんな仲間付き合いは好きだが、あまり長いことまわりにいられるのは、耐えられない。だから、行方をくらましたり、またしばらくもどってきたり、逃げ出したりするのさ。
ジョン・クラカワー「荒野へ」p.158



昨日は早めに寝たからか、7時前に目が覚めた。他のみんなはまだ起きている気配はない。よし、いまのうちに出ていこう――と思って準備を始める。いつもは5分もかからないパッキングが、今回は10分もかかってしまった。そりゃ10日も同じところにいればそうなるか。

電車の奥にマスターがいたので軽く挨拶しておく。





よしよし、外には誰もいない。見送りとかされると、出ていくことに罪悪感を覚えてしまうものだし、こうして誰にも何も言わずに出ていくのがいちばんだ。うん。

でもまあ、もっと夜逃げみたいな感じになるかと思ってたけど、マスターに挨拶できただけマシだろう。僕にしてはよくやったほうだ。





さよなら、美瑛。





ここまでのルート。

北海道を反時計回りにほぼ一周したし、あとは道南をちょろっとまわって、最後に札幌入りしよう。それから札幌で住むところと仕事を見つけて、しばらく暮らそう。今後の予定はそんな感じ。

しかし最初は本当にまったくのノープランだったのに、旅をしていればいつのまにか先のことも見えてくるもんだ。





美瑛駅からワンマン列車に乗って南へ向かう。





富良野で乗り換えて、いったん北西へ向かう。





そして滝川でまた乗り換えて南へ向かう。これはワンマンじゃなかった。しかもなんかシートがフカフカ。





岩見沢駅に到着。すぐに乗り換えもできたけど、1本ずらして、この街で昼飯を食うことにした。





岩見沢のB級グルメ、かまだ屋。





天ぷらそば、310円。クセのないシンプルな味だけど、やはりこの底の見えない汁の濃さは、関西を出てしばらくたってもまだ慣れない。





少し食い足りなかったので追加で「ライスとカレー」を注文。140円。安い。

カレーにたくあんwwwイミフwwwとか思ったけど、これはあくまでライスの単品(100円)に、トッピングのカレー(40円)をかけたものなので、ライス単品についているたくあんもついてくるのだそうな。





食後は公園で休憩したり。





であえーる岩見沢という大型施設に入ってみたり。





駅前の商店街を歩いてみたり。シャッター閉まってる店舗が多い。





朝日炭鉱写真展というのをやってたので入ってみた。入場無料。岩見沢も炭鉱の街だったのか。





そして駅に戻る。さっきは気づかなかったけど、駅前の広場に敷き詰められたレンガには名前がたくさん彫られてた。





田園風景の中をさらに南へ向かう。しばらく忘れていた「旅する感覚」というやつをだんだんと思い出してきた。





そして苫小牧でまた乗り換え。ここで1枚目の青春18きっぷを買ったのが1ヶ月前なんだよなあ。なんかものすごい昔のことに思えるわ。





またワンマン列車に乗って南へ向かう。





東室蘭駅に到着。街は思ってたより栄えてる。





ここからどうすっかなあと思ったけど、とりあえず終点の室蘭までいってみることにした。





駅から見えた東室蘭郵便局にはこんな看板がwwwまた「やきとり」なのに豚www





室蘭駅に到着。





駅の周辺には大型店舗がいくつかある。





丘の上にも家が多い。





フラフラと街を歩いて図書館へ。





うーん、室蘭市の規模の市立図書館としてはちょっと小さすぎる気がする。





郷土資料の棚にある本を適当に読んでたら、さっき見たロゴマークが載ってた。

室蘭のやきとりは、今や「室蘭やきとり」として、ほかと差別化されている。さらに観光資源、まちおこしの起爆剤にしようと、イベントの開催や、学校給食での「やきとり丼」の登場、やきとりまんじゅうや、やきとり皿まで開発され、イラストのロゴマークとやきとりソングもできて、官民挙げて、さまざまな取り組みを展開している。特に、「やきとりゆうパック」は、かなりの人気で、数多くの商品の中でも異例の大ヒットになった。全国の有名やきとり店が、その味を競う「全国やきとりんピック」で、室蘭の店が二年連続優勝するなど、やきとりは、今や確実に室蘭グルメの代表となっている。
きらん出版会「きらん室蘭入門書」p.37

なんで郵便局にあんな看板があるのかと思ったけど、この「やきとりゆうパック」ってやつの宣伝のためかー。

他にもカレーラーメンという独自文化があることもこの本でわかった。あとで食いにいこう。





さっきの大型店舗に入ってみた。2階3階もあるけど、さびれてきてるのか、いまは使ってないみたい。1階のスーパーは入口・出口にゲートがあって、それぞれ一方通行になってる。





ちょっと日用品を買おうと思ってレジに持っていったら、商品のスキャン後、合計金額じゃなくて「6番です」といわれた。え、はい、えっと……What? ってなった。

どうもこれはセミセルフレジのようだ。商品のバーコードスキャンは普通に店員さんがやってくれるんだけど、そのあと、レジを少し進んだところに設置されてる精算機を使って、自分で精算する。

大阪で住んでたときにセルフレジはたまに見かけてたけど、このタイプは初めて見たわ。知らないうちに世の中いろいろ進化してるよなあ。





どうもこの辺りより東室蘭駅周辺のほうが室蘭市の中心部になるみたいなので、いったん引き返すことにした。次の列車は特急だったけど、東室蘭までは普通運賃で乗れるらしい。うわあい。





やっぱ特急列車は綺麗だなあ。





東室蘭駅から北へ歩くとちょっと繁華街っぽくなってきた。





あ、ドンキや。





とかフラフラと街を見てまわってたら腹が減ってきたので晩ご飯。「味しん」のカレーラーメン。

やきとり、うずら……室蘭の名物全部入り。ちなみに「やきとり」はやっぱり豚だった。いやそれただのチャーシューじゃないのか……と思ったけど、食べてみたらたしかに「やきとり」の味だった。カレーとも意外とあってる。すごい。





いちおう街なかにネットカフェはあったんだけど、電車で少し引き返したところに24時間やってる温泉があったので、今日はそこに泊まることにした。





虎杖浜(こじょうはま)。無人駅。ここから大通りに出て、左に折れて、まっすぐ……のはずだけど、街灯がないからめっちゃ怖かった。





なんとか「花の湯温泉」に到着。入館料530円。2階の休憩所を使う場合は追加で530円。朝の6時以降も滞在する場合はさらに530円。僕は朝あまりバタバタしたくなかったので1590円支払った。これで1泊できて温泉も入れるって、めちゃくちゃ安い。ネットカフェのナイトパックと料金変わらんし、こっちにして正解だったな。





空調はきいてるし、リクライニングチェアもあるけど、いちおう布団とまくらを出してくれた。





さっそく温泉に入る。誰もいないので貸し切り状態。うわあい。今日は長距離移動と街歩きでちょっと疲れたからめっちゃ気持ちよかった。





コーヒー牛乳と迷ったけど、今日はフルーツ牛乳の気分だったのでこっちを買う。うんめー!