2014/08/22
美瑛、例外者たちの楽園
この社会にたいする反抗の表現としてのインフォーマルな領域にたてこもるということは、支配的な規則の網にかからない例外としてみずからを留保するということである。それも、自分たちだけが例外だと思いこむ。ほかにもありうる例外者を糾合すれば支配的な規則をくつがえせるかもしれないことには思い及ばない。つまり、みずからを縛る内なる「ルール」に無自覚なのだ。そういう反抗の文化のありかたを現実に規定しているこの社会の仕組み、そこに分析の言葉が及ぶことはない。あるのは沈黙である。イデオロギーが大手を振ってまかり通るのは、文化の側のこの沈黙ゆえである。その正邪にかかわりなく、それにたいする沈黙の反抗があろうがなかろうが、イデオロギーこそが声になる言葉をもち、そういうものとして「支配的な規則」でありつづける。そして文化の弱点にとり入って、ついにそれは、文化の内なる対話者になってしまう。イデオロギーの強靭さはその内容の正否にかかわりなく、それが公共の言葉としての晴れがましい形式性と表現力を持ち合わせていることにあるのだ。公共社会のコンセンサスを背景に君臨するイデオロギーをむこうにまわして、対抗文化の側にはそれと拮抗しうる有効な表現手段がなにもないのである。(中略)少年たちの行動や選択の背後には、確かにある種の論理、つまり順応を拒否し、本質論議を避ける経験主義的な論理が存在している。しかしその論理を、少年たちはみずから例外者の論理であると考えてしまう。他の何びとにも通用する、より一般的な論理からは例外であると、考えてしまいがちなのだ。「ほんとうの現実はこうだ」という肌身で学んだ知識の勢いで当面は社会一般の論理を退けることができるかもしれないが、けっしてそれを永続的に打ち負かしたわけではない。少年たちの内なる声は、「おまえにはこれが正しい」とささやきながらも、そのあとですぐに、「世間一般からみれば間違っているかもしれないけれど」と付け加える。つまり、インフォーマルなものに導かれ、またそこによりどころを得ながら〈野郎ども〉は現実に行動を選ぶのだが、究極においてフォーマルなものの大枠にとらえられている。フォーマルな権威が個々の具体的な場面であからさまに拒絶されることはあっても、優劣を格づけるフォーマルなものの力がたち切られることはない。反抗や異端は、こうして、つねに支配的な規則からの例外の位置にとどまらざるをえないのである。ポール・ウィリス「ハマータウンの野郎ども」pp.388-390
朝9時頃に目が覚めた。昨日はこの電車内で僕の他に2人寝てたはずなんだけど、もう彼らは出てしまったようだ。
僕の寝床は入口手前の左側。壁にコンセントもあるし、なかなか居心地いい。
近所のセコマでおにぎりとお茶を買う。なんか試供品の唐揚げもらった。
いまから出発するライダーがいるようだ。そしてその旅立ちを撮影するカメラマンの姿が。彼は農家のバイトをしながらここに滞在しつつ、入れ替わりやってくる旅人の写真をずっと撮っているらしい。
しばらくすると連泊中の何人かが連れ立ってパークゴルフに行き、さっきまでの喧騒が嘘のような静けさに。僕も誘われたけど、今日はダラダラしたかったので断った。
しかしここホント独特の空気のある場所だわ。めちゃくちゃ落ち着く。
2階部分もあって、テントが張ってある。ここは長期滞在者用で、さっきのカメラマン、マサくんの住居らしい。
なんでこんなに落ち着くのかと思ったけど、子供のころに遊んだ「秘密基地」的な雰囲気があるからなのかもしれない。
西成の道ばたにもこういうソファを置いてたのを思い出す。
立体四目並べを誘われたのでやってみる。通常の縦横斜めに加えて、上の段の縦横斜め、さらには上方向に4つ積み上げてもいいし、三次元の斜め方向もある。めちゃくちゃむずい。
負けたwww
そんなことをやっていると、なぜかいきなり青空散髪が始まった。
座ってるのがテラノくん、バリカン持ってるのがアベくん。あとあと仲良くなったけど、そういやこのときはまだ名前さえしらんかったなあ。
「ツーブロックね、ツーブロック!」と強調するテラノくん。
ちなみにまともに髪をカットした経験のある人間は1人もいない。あかん、もう失敗フラグってレベルじゃない……。
というかもうみんな失敗するの前提でやってるwww
どう見てもモヒカン。
昨日ギター弾いてくれたケンくんも散髪することに。後ろには完全にモヒカンになったテラノくんwww
こっちはこっちでまたやばいことになってるwww
どう見てもサッカーボール。
そしてマサくんも散髪することに。
また変なことやってるwww
この宿の前は車がバンバン走る大通りなんだけど、散髪してる最中、信号待ちの運転手のほとんどがこっちをめずらしげに見てた。観光バスの人たちなんかは、こっちが手を振ると全員で手を振り返してきたりした。
ふと、彼らにここはどういうふうに見えてるんだろう、と考える。ヒッピーとまでいかないにしても、それに似た空気はあるし、アウトローの溜まり場みたいに思われててもおかしくはない。
たしかにワイルドな感じの人は多いんだけど、大学を休学してチャリで日本一周してるとか、長期休暇が取れたからバイクで北海道をツーリングしてるとか、実際に話をしてみると育ちのよさそうな人が多い。社会から完全にドロップアウトしたような人はいない。
外側からだと異質に見えるけど、いったん内側に入ってみたらわりと普通だった、みたいなことはけっこうあるんだよなあ。西成も、ホームレスの施設も、福島の除染の現場もそうだった。
昨日とは別の人たちにまたBBQに誘われたけど、今日は居酒屋営業するらしいのでこっちで食うことにした。
ナショナルジオグラフィックが置いてある。ナショジオいいよね。図書館で読む定番だわ。
漫画もたくさん置いてあって、しかもタイトルの選定がすごくいい。
ザンギ丼を注文。めちゃくちゃうまい。量も多いし、これが500円ってやべえ。
昨日も思ったけど、ここホントに「わりにあってる」んだろうか。ライダーハウスはNon-Profit、営利が第一目的ではないのかもしれないけど、事業継続できるていどには儲けてほしい。
というわけでお金を落とすために、ソフトドリンクの飲み放題(90分500円)も注文。昨日飲み過ぎたから、今日は休肝日や……。
ちなみにこれセルフサービスだったwww厨房の中に入って適当にジュースを入れていいらしいwww
最初のうちはお客さんはほとんどおらず、ダラダラと漫画読んでたんだけど、しばらくするとだんだん人が集まってきて、あっというまに満席になった。
もう食い終わっていた僕は邪魔にならないように自分のベッドに引っ込んで漫画の続きを読む。
入口手前の右側、つまり僕のベッドの前にも席があるんだけど、しばらくするとそっちも埋まったwww
男性客2人だったんだけど、どうも旅行者ではなく地元の人らしい。明日、美瑛の駅前で祭りがあるのを教えてもらった。
しかしなんだろうこれ、僕はエアマットに寝っ転がってて、私物がそのへんに散らばってて、その目の前の席で地元のお客さんが飲んでて、その人たちとダベって、店の奥では他の旅行者たちが盛り上がってる。
このゆるい空気、たまらんwww