2014/08/27
美瑛、人の営みとしての経済
8時過ぎても爆睡してたらテラノくんが起こしにきた。
なんかチャリダーみたいな格好してて何事かと思ったけど、そういや今日ここを出発しないと日程的にギリギリだっていってたっけ。マジで出発するのか。というかマジでチャリダーだったのか。漫画読んでダラダラしてるイメージしかないからすごい新鮮だわw
アベくんは朝早くから農家のバイトに行ってしまったので僕とマスターとで見送る。達者でなー。
……と、出発するかと思ったら「走行ルートを検討する」といって戻ってきた。
ルートを確定して、自転車にまたがって、今度こそ行くかと思ったら、やっぱり戻ってくる。ああもう未練たらたらやんかw
ここでだいぶ沈没してたみたいだしなあ。アベくんっていう兄貴分もできたし。後ろ髪ひかれる気持ちはよくわかる。
でも旅人ならそれを振りきって次の街へ行かなきゃならないんだぜ。
そんなこんなを何度か繰り返したあと、ようやく本当に出発。
振り返ってはいけないよ。ロトの妻はそれで塩の柱になったんだから。
さて、僕のほうはどうしようか。今日は天気もいいし、そろそろ美瑛観光に行こうか。と思って駅のほうへ向かう。途中、町役場があったので寄ってみた。
玄関にあった大型液晶。映ってるのは既製のグループウェアかなんかの画面かな? とりあえずFirefoxは全画面表示にしたほうがいいと思うw
役場には「四季の塔」という展望台があるので登ってみた。入場無料。高層建築がないから街全体がよく見渡せる。
そして美瑛駅からツインクルバスの「丘コース」に乗る。美瑛西側の観光スポットを1時間弱でまわる観光バス。500円。
ケンとメリーの木。日産のCMで使われたらしい。
セブンスターの木。セブンスターのパッケージに使われたらしい。
とかいわれても、昔のことなので知らず、特に思い入れもなく、「へー」くらいの感じでしかないw
観光スポットになってるところよりも、普通のこういう風景のほうが「おおー」と思える。丘のまち美瑛らしい光景。
北西の丘展望公園の展望台から。遠くに市街地が見える。あそこに人の暮らし――住居や店舗があって、こっちに仕事――農地がある。すごくわかりやすい構図だ。
とりあえず「丘コース」は終了。次の観光バスまで1時間以上あるので、道の駅の食堂でコロッケ定食を食べる。揚げたてサクサクでうまい。
アイスコーヒーを飲んで時間をつぶす。
今度は美瑛東側の観光スポットをまわる「拓真(たくしん)館コース」のバスに乗る。これも500円。
新栄の丘。
拓真館。季節によって移ろう美瑛の風景写真がたくさん展示されてた。写真家っていうのは、常に変わっていく世界の、その一瞬を切り取る職業なんだなあ。
美瑛はホントこういう風景が多い。写真家が惹かれるのもわかる。
そして四季彩の丘へ。この風景もすごいなー。
色とりどりの花が咲いてる。
このトラクターバス、すごい楽しそう。他にもバギーやカートもあって自分で運転できるみたい。そんなにめちゃくちゃ広いわけじゃないので僕は歩いてまわった。
右端にいるのは牧草ロールでできた、ロールちゃん。
心やさしいロールちゃんは人間が好きなんだけど、その巨体ゆえに誰にも近づいてもらえない……というのを想像して、なんだか悲しくなった。
ラベンダーアイスを買って食う。やべーわ。ラベンダーの味がするわ。食ったことないけど。
そして「拓真館コース」も終了。2コース合わせて1000円は安いなあ。予約不要で気軽に乗れるのもいい。
そして街をブラブラ歩きながら帰る。店舗が集中してるのは駅前だけで、少し離れると民家ばかりだ。
美瑛の街はコンパクトで、人口が多いわけでもなく、それほど栄えてるわけでもない。でもなぜかここは「豊か」だと感じる。インドのケーララ州で感じたのと似た空気だ。
農業という地に足ついた産業があって、それ自体(風景)を資源にした観光産業があって、さらにそれによって農産物に付加価値をつける――っていうループ構造がうまく機能してる感じ。お店で美瑛産○○使用とか書いてあると「おっ」と思っちゃうし。
これが本当の意味で自立した地域経済の姿なのかなと思う。お上にすがるのではなく、他者を踏みつけて富を奪い取るのでもなく、ちゃんと価値あるものを生産して、正当な交換関係で互いに豊かになっていく。そこには現代社会のよそよそしいそれではなくて、人間本来の営みとしての「経済」がある。
今日は居酒屋をやってたのでザンギ丼を注文。やっぱりこれうまい。他のメニューになかなか手が出ないくらいに。
若者の集団がゾロゾロと入ってきて席が足りなくなりそうだったので、食い終わったあとはさっと店を出て、外でアベくんと将棋を指す。アベくん将棋ハマってるなあ。だいぶ考えるようになってる。
連戦して疲れたので、アベくんが大学生と指してるのを横で見てたんだけど、なんかこの大学生、めちゃくちゃ強い。これ絶対ガチの人や……。
話を聞いてみると、予想通りガチでやってる人だったらしく、いろいろ教えてもらった。やっぱり将棋は奥が深い。81マスの盤上にかくも広大な宇宙が広がっているのを実感した。